電子帳簿保存法に対応し、帳簿類などの電子データ化を行うと、そのデジタル書類についての管理が必要になります。すると、情報セキュリティについても検討する必要が出てきます。そこで今回は、電子帳簿保存法への対応と同時に実施すべきセキュリティ対策についてご紹介します。
電子帳簿保存法に対応すると、帳簿書類の電子データ化により、ネットワークセキュリティについてのリスクが生じてきます。従来は、紙の書類であったため、盗難や持ち出しによる情報漏洩リスクがありましたが、電子データ化された場合には、また違ったセキュリティリスクが生じるということは知っておきたいところです。具体的にどのようなリスクがあるのかを見ていきましょう。
国税関連書類は、非常に重要な書類であるため、データが消失することの損害は大きいといえます。しかし国税関連書類を電子データで保存する際にネットワークを通じてサイバー攻撃に遭い、データが破壊されることでデータが消失してしまったり、内部の人員による何らかの操作ミスでデータを消してしまったりといったことが考えられます。
データ消失・破壊のリスクと共に脅威となるのが、情報漏洩リスクです。サイバー攻撃に遭って情報が盗み取られてしまい、情報が漏洩したというニュースは後を絶ちません。また、内部のミスや、悪意のある者の情報持ち出しのリスクもあります。
このように、電子データ化をした場合には、従来の紙の書類とは異なるセキュリティリスクがあることは心得ておかなければなりません。
そこで、電子帳簿保存法に対応するのと同時に、あらかじめ実施しておきたい電子データのセキュリティ対策を確認しておきましょう。
セキュリティリスクを想定し、データ運用のルール決めをしておくことが先決です。例えば、電子データ化された書類をメールなどで送付する際には、必ず書類にパスワードをかけてから送付するといったルールや、USBメモリなどの記録媒体に保存する場合には、そのUSBメモリが安全であることが確認されているものしか使ってはいけないといったルールも考えられます。
あらかじめ電子データ化されたデータにはパスワードを設定しておく、暗号化しておく、アクセス権限を付与しておくことなども有効です。そのような設定が可能な経費精算ソフトなどを利用することが求められます。
電子データ化された書類に対して、アクセスしたユーザー名や時刻などのログをしっかりと残しておけるシステムを利用し、常にログを確認できる状況にしておくことも重要です。
会計ソフトの全般的なセキュリティも、念のため確認しておきましょう。特にクラウド型会計ソフトは、クラウド環境を利用するため、そのクラウドサーバにどのくらいのセキュリティが施されているのか事前に確認する必要があります。また、通信が暗号化されているかどうかも確認しておきましょう。
電子帳簿保存法に対応すると同時に、電子データ書類において、実施しておきたいセキュリティ対策について解説してきました。これまでの紙の書類の管理とは異なる対策が必要になってくることをよく理解し、適切なセキュリティ対策を講じましょう。
<著者情報>
経費精算システム「J'sNAVI NEO」編集部
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