テレワークが浸透する中で、経理のテレワーク化に課題の声が挙がっています。特に経理のテレワーク化を阻む壁にはどのようなことがあるのかを探ってみました。また、経理業務のテレワーク化に役立つツールや技術をご紹介します。
多くの部署や部門が完全テレワーク化を目指す中、経理部門においては、完全テレワーク化がむずかしいといわれています。
実際、経理担当者の多くが、出社しなければできない業務を抱えており、週に何日かは出社をするのが当たり前になっている状況があります。
例えば、紙ベースの処理業務や完全にオンライン化できない承認フローが存在することで、テレワークを阻んでいるケースはよくみられます。
特に、決算処理や、紙の請求書・経費精算を扱う業務への対応がネックとなっているといわれます。
特に、紙の請求書の処理や、経費精算業務を完全に在宅で行おうとした際、次のようなことがネックになっていると考えられます。
請求書の発行を紙ベースで行っている場合、紙の書類を作成してプリントアウトし、その後、会社に保管されている社判で押印し、発送のための業務をしなければなりません。一連の業務を会社で行う必要があります。
取引先から郵送されてくる請求書は、当然、会社に届くため、受け取りに出社が必要です。
紙の請求書を見ながらの入力業務においては、請求書のある会社へ出社して行う必要があります。また、複数メンバーの確認、承認フローがある場合に、オンラインでの共有がむずかしいデータの場合には、会社のPCで作業する必要があります。
交通費などの経費の精算処理については、社員が立て替え、もしくは社員に仮払いするなどが一般的です。また紙の帳票によって経費申請し、上長の承認を経る必要があるというのが通例のフローです。そうした一連の経費精算業務は、在宅でオンラインで完結することは、なかなかむずかしいでしょう。
上記で挙げた紙の請求書・経費精算業務の完全テレワーク化を目指すためには、ペーパーレス化やクラウド化がカギとなります。そこで、それらを実現し、テレワーク化を助けるツールや技術をご紹介します。
会計システムや経費精算システムをクラウド型に換えることで、セキュアな環境下でのデータ共有がオンラインで可能となります。これにより、わざわざ出社して会社PCからシステムに入力する必要がなくなります。また、経費精算システムの中には、経費申請における承認フローや会計システムへの連携まで一気通貫で行うことができるものもあり、そういったシステムを導入すれば、始めから終わりまでテレワークが可能です。
ICカードから経路・金額を自動読み取り機能を実装したアプリを利用することで、申請・承認の効率化は勿論、誤申請や不正防止にも役立ちます。
交通履歴のみの取込、二重取込防止、定期区間控除など、精算書作成の手間を大幅に削減できるだけでなく、承認者や経理担当者のチェック作業も大幅に削減できます。
会計システムと販売管理システム、会計システムと請求書発行システム、会計システムと経費精算システムなどのシステム同士をAPI連携させることで、データ連携が可能となり、より業務が効率化します。クラウド型であれば、テレワーク化が実現しやすくなります。
AIを用いた文字認識(OCR)技術を活用することで、請求書などの複雑な形式の帳票をスキャンして読み込むことができます。帳票のデータ化が促進することで、完全テレワーク化が実現しやすくなります。
RPAとは、Robotic Process Automationのことで、人間がコンピューターで行っている定型作業をロボットが代わりに担うことにより、自動化することを意味します。経理業務の効率化が実現しますが、テレワーク化のためには、会社PCだけでなく、経理担当者の自宅PCからでもロボットに向けてリモート接続やメールで処理を開始させるなどの、RPAを動かす仕組みを構築する必要があります。それが可能になれば、RPAはテレワーク化に大いに役立つでしょう。
経理業務のテレワーク化を阻む壁や、ネックとなっている業務、そしてテレワーク化の助けとなるツールや技術をご紹介してきました。完全テレワーク化がむずかしいという場合でも、最先端の技術やツールを導入していきながら、将来、完全テレワーク化を目指したいものです。
<著者情報>
経費精算システム「J’sNAVI NEO」編集部
経費精算や出張管理業務の効率化を追求してきた20年の実績を活かし、経理や人事のバックオフィス業務をはじめとするビジネスに役立つ情報を更新しています。
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