業務効率化やコスト削減のために「BPO(Business Process Outsourcing)」が多くの企業で導入されています。中でも煩雑な業務や定型的な業務にコストがかかっている経理業務においては、BPOを導入することで大きな業務改善につながることもあります。しかしBPOを導入すれば必ずしも成功するとは限りません。
まずは経理業務のBPOにおけるよくある失敗を把握し、それらの失敗を防ぐ方法をもとに、自社のBPO導入の成功ポイントを探っていきましょう。
経理業務のBPOを導入したときの、よくある失敗を見ていきましょう。
経理業務の一部の業務だけを依頼するのか、全部の業務を依頼するのかによって大きく変わってきます。しかし「全部の業務を引き受けます」という言葉にのせられ、打ち合わせも不十分なまま進めてしまった末に、自社の実態にそぐわない会計処理を行われてしまい、狙った効果が得られなかったというケースもあります。
依頼するBPO業者がどこまで対応しているかは、業者によって異なります。例えば、自社で経理業務の例外処理に手間と時間を要しているのにも関わらず、その部分を対応可能な業者が見つからない、という場合はBPOを行っても業務効率化につながりにくいため、BPOの意味がなくなってしまいます。
コスト削減を一つの目的としてBPOを行ったものの、かえってコストがかかり、自分たちでやったほうがコストを抑えることができたというケースもあります。
BPOの業者は当然、はじめは自社の理念や実態を把握していません。理解されないまま会計処理をされ、社内で再確認する業務が発生してしまうというケースもあります。これではかえって業務負担が増してしまいます。
【関連コラム】
>経理業務のBPO業者選定のポイント
経理業務のBPOを導入したのにもかかわらず、かえって業務負担が増し、逆効果になったり、コスト削減効果が現れなかったりすることもあります。そのような失敗を防ぐために、あらかじめ予防策を取っておくのをおすすめします。
まず自社のBPOの目的と狙う成果を明確に設定しない限り、思うような成果も期待できません。また漠然と依頼してしまうと自社に適さない業務対応をされてしまったときに大きな損失ともなり得ます。業務改善、コスト削減などあらかじめ数字で明確な目標設定までしておくのが理想です。
目的と目標値が定まれば、それを実現する業者を見つけます。まずは自社のニーズにマッチした業者の候補を挙げてその中から選んでいくといいでしょう。
経理業務をすべて委託する場合も、一部を切り出して委託する場合もどちらも業務内容を細かく「可視化」しておくことが成功につながります。業務内容の可視化が不十分なまま自社にそぐわない会計処理をされてしまうといった失敗を防ぐことができます。
BPOを行う際は、事前にBPO業者による業務内容のヒアリングを行い検討を進めていく事が一般的です。
業務内容のヒアリングはBPO業者によっては有料、無料の場合もあるので、実施前に確認することがおすすめです。
経理業務の一部を切り出してBPOするより、全部を委託したほうが効率的と考えるかしれません。しかし自社で対応が必要な例外処理なども含めると、全部を委託することは必ずしもメリットがあるとは限りません。
経費精算業務を例とした場合、申請者が経費精算の申請を行い、上長の確認及び承認、経理部の最終確認と承認を終えた上で支払処理を行うのが一般的な工程ですが、申請と支払処理の業務は自社で行い、それ以外の工程をBPOへ依頼するケースもございます。
特に判断を伴う業務はBPO化が難しい場合があるため、一部委託も合わせて検討しましょう。
業者選定の際には、自社とのマッチングが重要になるものの、自社と同業種の実績があり、専門的な知識レベル、業務の質の高さなども必要です。自社理解の度合いにも関係してくるでしょう。
今後、同一労働・同一賃金等の問題で、BPOコストが上がることが想定されます。
労働集約(人手の業務運用)に頼ったBPO業者の場合、BPO費用の維持・持続が困難となる可能性もあります。
そのため、BPO業者内でAI-OCRやRPAを活用し、生産性を高めた運用が提供できることが、今後生き残れるBPO業者となることが想定されます。
経理業務のBPOは、導入することでさまざまなメリットが期待できますが、失敗するケースもあります。そうした失敗を避けるためにも、ポイントを押さえて事前準備を行いましょう。
<著者情報>
経費精算システム「J'sNAVI NEO」編集部
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