令和元年改正による電子帳簿保存法の
規制緩和ポイントとは?
令和元年改正による電子帳簿保存法の
規制緩和ポイントとは?
電子帳簿保存制度においては、ここ数年における規制緩和が注目されてきましたが、令和元年においても改正が実施され、運用上の見直しがされることになりました。
そこで、今回から数回にわたり、電子帳簿保存法の令和元年改正の内容について、特にその中でもスキャナ保存制度に関する点にフォーカスした改正ポイントをご紹介します。
令和元年改正の主な内容
令和元年度税制改正では、電子帳簿等保存制度について、以下の通り、スキャナ保存の対象書類の範囲拡大といった制度改正がなされるとともに、運用上の見直しも実施されました。
今般の改正により、スキャナ保存の承認を受けている保存義務者は、過去分重要書類についても、適用届出書を提出した場合には、一定の要件を満たすことで、スキャナ保存をすることが可能となりました。(令和元年(2019年)9月30日以後に提出する適用届出書に係る過去分重要書類から適用)
(注)「重要書類」とは、国税関係書類のうち国税庁長官が定める資金や物の流れに直結・連動する書類であり、例えば、領収書や請求書などがこれに該当します。
スキャナ保存制度においては、重要書類に係る記載事項の入力等を一定期間内に行うこととしていますが、その解釈が次のとおり見直されました。
① 受領者が自ら読み取る場合、受領後3日以内にタイムスタンプを付すこととされていたが、おおむね3営業日以内であれば要件を充足するものとする。また、スキャンミスが判明した場合についても、当該スキャンミスを把握してからおおむね3営業日以内であれば再度読み取り、タイムスタンプを付与していれば、上記と同様に取り扱うこととする。
② 業務の処理に係る通常期間を経過した後に速やかに入力する場合について、最長1か月プラス1週間以内に入力することとされていたが、最長2か月プラスおおむね7営業日以内に入力していれば要件を充足するものとして取り扱う。
スキャナ保存制度においては、受領から入力までの事務処理の内容を定期的に検査することとされており、その頻度については、全ての事業所等を対象として1年に1回以上行うこととされていましたが、事業規模に応じた柔軟な対応を可能とするため、おおむね5年のうちに全ての事業所等の検査を行う場合についても要件を充足しているものと取り扱うこととされました。
なお、上記2及び3については令和元年7月から該当通達が改訂されております。
今回は、改正点の主な内容をご紹介いたしました。今回の改正を受けて、今後ますます電子帳簿保存法対応企業が増加するものと見込まれております。
次回からは、各項目についてさらに詳しくご紹介していく予定です。
執筆者
グローウィン・パートナーズ株式会社
(https://www.growin.jp/)
Accounting Tech事業部 マネージャー
齊藤 佳明(公認会計士)
(経歴)
• 有限責任監査法人トーマツにて、マネージャーとして東証一部上場企業をはじめ、
商社、製造業など様々な業種/規模の企業に対する金融商品取引法に基づく
財務諸表監査及び内部統制監査、四半期レビュー、会社法監査を担当。
• その他、同監査法人にて社内の研修開発や講師業務も担当し、人材育成業務にも従事。
• 弊社入社後、東証一部上場企業における社会インフラ事業に対する経理BPRプロジェクトに参画、
子会社決算業務や開示業務改善を担当。
その他連結決算業務BPOプロジェクトや経費精算システム導入プロジェクトなど多数担当。
現在は電子帳簿保存法コンサルティングを複数担当し、
ビジネス領域におけるペーパーレス化プロジェクトを推進している。
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